2008年度(平成20年度)CACフォーラム開催実績

 

2008年度第1回CACフォーラムセミナー

日時 : 2008年7月4日(金)13時~17時
場所 :

(社)日本化学会 化学会館 501B会議室(東京都千代田区神田駿河台1-5)
http://www.chemistry.or.jp/kaimu/office/map.html

内容 :

《プログラム》

1.開会挨拶  (13:00~13:10)
  CACフォーラム会長 東京大学大学院工学系研究科  教授 船津 公人 氏

2.講演(Ⅰ) (13:10~14:10)
東京大学大学院工学系研究科    准教授 藤田 昌大 氏
「メソスケール動力学シミュレータSNAPのご紹介」
 近年のナノテクノロジーの発展とともに,塗布・乾燥,分散,膜ろ過等の化学工学プロセスにも技術革新が要求されている.これらのプロセスでナノ粒子分散液を扱う場合,粒子間相互作用が粒子-溶媒間相互作用と拮抗する大きさになり,それらの相互作用によって形成される粒子系の集合構造がプロセス性能に大きな影響を及ぼす.したがって,ナノ粒子分散液を用いたプロセスの設計と制御のためには,粒子系の集合構造形成の原理を理解し,集合構造を最適化することが重要である.これに対して私たちは,ナノ粒子分散液の挙動をモデル化し,計算機シミュレーションを用いた研究をおこなっている.
 ナノ粒子分散液のプロセスは,電子,分子から連続体までのマルチスケールの物理化学現象である.電子,分子の挙動に関しては量子化学,分子動力学が,連続体の挙動に関してはマクロスケールの流体力学が適用されるのに対して,分子動力学と流体力学の間のメソスケールにおける決定的なモデル化手法はまだない.現在私たちは,SNAP (Structure of NAno Particles)と名付けられたメソスケール動力学シミュレータを開発中である.SNAPは現象の本質を捉えられる解像度を有しつつ,高性能パーソナル・コンピュータで実行可能な効率をもつよう現象を粗視化した数値モデルであり,現象の解明を通じてプロセスの設計や制御を支援するために産業の現場で利用されることを念頭においている.2008年4月からスタートした産学連携活動「メソシミュレーション・コンソーシアム」では,コンソーシアムのメンバー企業にSNAPを提供するとともに,SNAPを用いた研究開発のコンサルティングをおこなっていく.

---------------------休憩(14:10~14:20)----------------------

3.ケモメトリックスソフトChemish講習会 (14:20~17:00)
東京大学大学院工学系研究科   荒川 正幹 氏

 (1) Chemishを用いた研究事例(14:20~14:30)
 (2) Chemish機能&操作説明 (14:30~16:00)
 ----------------休憩(16:00~16:10)-----------------
 (3) Chemish演習&QA (16:10~17:00)




2008年度CACフォーラム一泊研修会

日時 : 2008年9月25日(木)~26日(金)
場所 : 鹿児島県 霧島温泉 霧島ホテル (http://www.kirishima-hotel.jp/)
〒899-6603 鹿児島県霧島市牧園町高千穂3948
TEL 0995-78-2121 / FAX 0995-78-3001
内容 : 《プログラム》

9月25日(木) 
1. 会長あいさつ(13:30~13:40)
東京大学大学院工学系研究科   教授 船津 公人 氏

2. 講演(I)(13:40~14:40)
東京大学 生産技術研究所  准教授 火原 彰秀 氏
「マイクロ化学チップを用いた新しい分析化学」
 マイクロ化学チップは、化学操作の小型化・自動化などの観点から盛んに研究されている分野である。この中でMicroTASあるいはLab on a Chipとよばれる分野では、化学・バイオ分析の集積化・効率化に向けた研究が進められている。この技術では先端的マイクロ・ナノ加工を用いた微細構造形成や、その構造内でのマイクロ・ナノ流体が化学・バイオ実験操作実現に用いられる。本講演では、マイクロ化学チップを用いた化学・バイオ実験操作の集積化手法の基本から、集積化デバイスの例を紹介する。さらに、操作を集積化・自動化・並列化することによる新しい分析手法の可能性についても議論する予定である。

---------(休憩 10分)----------(14:40~14:50)

3. 講演(II)(14:50~15:50)
京都大学   教授 吉田 潤一 氏
「フラッシュケミストリー:マイクロリアクターを用いる高速化学合成」
 フラッシュケミストリーとは、高速反応を用いてほしい化合物を選択的に合成する化学である。反応時間は通常ミリ秒から秒オーダーであり、そのような高速な反応を制御して行うためには、従来のフラスコなどのマクロバッチ型リアクターでは不十分であり、マイクロフロー型リアクターの利用が必要不可欠である。本講演では、マイクロフローリアクターの高速混合・高速熱移動・短い滞留時間といった特長を生かして、高活性な反応剤や不安定反応中間体を用いた高速合成化学をどのように行うかについて、実例をあげて紹介する。

---------(休憩 10分)----------(15:50~16:00)

4. 講演(III)(16:00~17:00)
山田化学工業株式会社   飯沼 芳春 氏
「マイクロリアクターによる機能性物質合成」
 マイクロリアクターは反応・分析・計測の効率化・高速化、省資源・省エネルギー化により、化学産業だけではなく関連する医療、製薬、バイオ関連、食品産業などに多大な貢献が期待されている。当社は各種の機能性色素を開発してきた。熱安定性と繰り返し特性に優れた光スイッチング分子であるジアリールエテンのマイクロフロー合成による量産化に取り組んでいる。工業化の視点でフローマイクロ合成の可能性について述べる。

---------(休憩)----------

5. 夕食・意見交換(18:30~21:00)


9月26日(金) 
1. 講演(IV)(9:30~10:30)
武蔵野大学 薬学部 薬学研究所   教授 大塚 誠 氏
「ケモメトリックスによる製剤特性の非破壊・非接触光計測とその評価」
 医薬品の品質を表す,有効性・安全性を担保するためには,製剤中の薬物の種類や量を表す,化学的情報,結晶化度や結晶多形などの物理化学的情報,さらには,製剤に含まれる粉体の粒子径や空隙率,硬度などの物理情報を考慮し,剤形設計を行なわなければ,製剤の生物学的利用能を確保することはできない.これらの製剤の品質に関わる複雑情報を,製造時に,全ての製剤製品から非破壊で得られれば,その製造過程の品質リスク管理に大きく貢献することができる.これらの問題を解決するために米国FDAは,従来の医薬品品質管理の概念を発展させた製造工程の分析と管理(PAT)の概念の導入を進めている.医薬品の製造工程を自動管理するために,製造ラインに組み込んだセンサーによって対象医薬品の品質を非破壊的に測定,この情報を瞬時に解析し,キーパラメータ情報を製造工程管理にフィードバックすることが要求される.迅速で非破壊・非接触な分析法である近赤外やラマン分光法,X線回折法などの複雑で膨大な情報を有効に活用するためには,このスペクトルから目的情報を抽出するケモメトリックス法を適用することが不可欠である.本講演では医薬品製造に関連するケモメトリックス適用例について講演する.

---------(休憩 10分)----------(10:30~10:40)

2. 講演(V)(10:40~11:40)
星薬科大学 薬剤学教室   教授 髙山 幸三 氏
「製剤開発の効率化を目的とした設計支援システムの開発」
 ICH Q8により提唱されたQuality by Design(QbD)は、医薬品の承認申請において、その品質が科学的根拠に基づくことを求めるものであり、従来のQuality by Test(QbT)とは品質保証に対する考え方が大きく異なっている。QbDを正しく理解し実践するためには、QbDに基づくDesign Spaceの設定手段を考える必要がある。
本研修会では、薄板スプライン補間、ブートストラップ法および自己組織化マップ等を組み合わせた新規設計支援システムの概要を述べるとともに、テオフィリン含有固形製剤への応用事例を紹介する。


3. 昼食(12:00~12:30) 昼食後、解散


2008年度第2回CACフォーラムセミナー

日時 : 2009年3月2日(月)13:00~17:00
場所 :

東京大学 山上会館小会議室 201, 202 (東京都文京区本郷7-3-1)
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_00_02_j.html

内容 :

《プログラム》

1.開会挨拶  (13:00~13:10)
  CACフォーラム会長 東京大学大学院工学系研究科  教授 船津 公人 氏

2.講演(Ⅰ) (13:10~14:10)
大阪大学 大学院薬学研究科   教授 高木 達也 氏
「ミニパラメトリック回帰法、SANORAの開発とその応用」
 従来、非線形回帰法には、大きく分けて2種類の方法があった。1つはパラメトリック回帰で、y=ax3+bx2+cx+d など、顕な関数関係を書き下すことができるものがそれに相当する。対して、スプライン平滑化など、顕な関数関係を前提としない方法がノンパラメトリック回帰である。両者に利点欠点があるため、私たちは、その中間的な手法として、ミニパラメトリック回帰法とでも呼ぶような手法、SANORA(Simple Additive NOnparametric Regressin Analysis)を開発した。この手法では、ある程度顕な関数関係を記述することができ、かつ、ノンパラメトリック回帰のような柔軟性を有することができる。
当日はこの手法のQSAR、薬物の血中動態解析などへの応用も含めてお話させて頂きたい。


---------------------休憩(14:10~14:20)----------------------

3.講演(Ⅱ) (14:20~15:20)
産業技術総合研究所   主幹研究員 長嶋 雲兵 氏
「Molecular Orbital Calculation beyond Adiabatic Approximation: Multi-Component Molecular Orbital Method」
 The problem imposed on quantum chemistry is to clarify chemical concepts or chemical phenomena under the quantum mechanical principle. For example, the nuclear quantum effects, such as zero point energy, nuclear tunneling, and vibrational excitations, are interesting subjects in chemistry, as well as in physics and in other interdisciplinary fields. Also, many phenomena induced by the H/D isotope effect are observed experimentally, such as the red shift of the vibrational frequency, the change in the chemical reaction rate, the Ubbelohde effect, and a drastic change in the phase transition temperature of hydrogen-bonded dielectric materials. Moreover, biological reactions involving hydrogen often can be dissected using deuterium substitution. It is, however, sometimes difficult to theoretically describe these nuclear quantum effects within only the Born-Oppenheimer approximation.
 For molecular systems, to theoretically evaluate the nuclear quantum nature accounting for the H/D isotope effect, we have proposed the multi-component molecular orbital (MC_MO) method to determine both nuclear and electronic wavefunctions simultaneously. We have already found that the MC_MO method has great success in analyses of the geometrical isotope effect (GIE) in C-H…O hydrogen bonds. The MC_MO method is also a powerful tool for analyzing the hydrogen (proton) transfer reaction mechanism in terms of the kinetic isotope effect (KIE). Recently, we have developed a fragment MO (FMO)-MC_MO method to analyze H/D isotope effect for large molecules. We would like to explain the methodology and applications of MC_MO method.


---------------------休憩(15:20~15:30)----------------------

4.講演(Ⅲ) (15:30~16:30)
徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部   教授 中馬 寛 氏
「新しいQSARの構築を目指して」
 QSARにおいて代表的かつしばしば使われるパラメータにlog PとHammett ??がある。QSARでは標的受容体の構造情報を考慮していないにもかかわらず、これらのパラメータがリガンドとその標的タンパク質との結合自由エネルギー変化を実効的に表すかは必ずしも自明ではない。しかし、同一または類似した骨格をもち、置換基の異なる一連の阻害剤-タンパク質複合体系の分子科学計算による解析によって相互作用メカニズムを直接的に反映する新たなパラメータを見出すことが可能と考えている。FMO法等を用いて、HIV-1 プロテアーゼとその阻害剤等の解析を進めてきた。結合活性の変動の支配要因の一つとなる可能性が指摘されていた電荷の再分配の効果を明らかにする目的も含めて、阻害剤-HIV-1 プロテアーゼ複合体系にフラグメント間相互作用や電子密度解析の結果に基づき、相互作用エネルギー変化の変動の支配因子を議論する。

5.ソフトウェア紹介 (16:30~16:50)
東京大学 船津研究室   金子 弘昌 氏
「Chemishの開発状況と今後の計画」



  

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